第59回 最低賃金の対応
前回、最低賃金は正式な発表があるまで対応せず、静観することをお勧めしました。そんな中で法規にしたがうと新しい州最低賃金を制定する期限を越えてから大統領が計算式もなくいきなり最低賃金の昇給率は 6.5%と決めてしまいました。またセクター別最低賃金も定めることを義務付けました。県/市最低賃金を定める期限も越え、各地方は大混乱です。そんな中で州および県/市最低賃金は軒並み 6.5%の上昇で決定し、セクター別最低賃金は地域によって隔たりはありますが、いくつか設定されている地域が多く、10%を超える上昇率になった設定もありました。こんな中で各社の年次賃金調整交渉はどうしたらいいのでしょうか。
労務相談室
2025.01.31
第58回 最低賃金の行方
2024 年 10 月 31 日に 2023 年法律第 6 号の一部に対して違憲判決が下されました。21 条項に対して違憲と判断されましたので、その条項はこの違憲判決が下された期日を持って法の下で無効になります。一方で違憲裁判所には法規を定める権限はありませんので、今回の判決に基づき、政府側で新しい法規を策定することが求められていますが、新しい法規が定められるまでは2023 年法律第 6 号の前に有効であった法規が有効となります。
労務相談室
2025.01.31
第57回 解雇合意書の登録
社員の解雇が難しいと言われるインドネシアですが、オムニバス法により解雇合意書を労使で作成することで労働地方事務局等権限を有する機関からの許可なく雇用関係を終了できることになりました。権限を有する機関からの許可を必要とするのは解雇合意書を労使で作成できていない場合に限られます。一方でその解雇合意書の適性を確認できるよう、所在地州管轄の労使紛争解決裁判所への届出が義務付けられています。今回はどのように届出を行うかについて確認してみましょう。
労務相談室
2024.11.01
第56回 労務相談室 第 2 段階警告書を直接科す違反
インドネシアで最も一般的な罰則は警告書発行と解雇です。警告書には第 1 段階から第 3 段階までのレベルがあります。発行された警告書の有効期間中に違反を再度行った場合には警告書のレベルが上がり、第 3 段階警告書有効期間中に再び違反を行った場合には解雇処分にすることができます。
労務相談室
2024.08.28
第55回 労務相談室 口頭注意の生み出す混乱
罰則規定を確認すると、「口頭注意」という罰則を定めていらっしゃる会社が少なくありません。警告書ほど重い違反ではないが、細かく取り締まりたいような軽微な違反を対象にしていらっしゃる場合が多いようです。けれどもこの法規に定められていない「口頭注意」は取り扱いに注意しないと大きな混乱を生み出す可能性があります。
労務相談室
2024.07.30
第54回 労務相談室 守秘義務の理解
社員の辞職願を受け取ると、まず頭をよぎるのは「競合他社に転職するのではないか」ということです。インドネシアでは競合他社への転職が当たり前に行われており、会社機密情報の漏洩が気になります。まだまだ守秘義務に関する意識が薄く、転職してしまえば他社の問題という認識もあり、現職の情報を期待してヘッドハンティングすることもあるほどです。完璧に遵守させることは難しくとも、少しでも守秘義務に対する意識の向上は期待したいところです。ではどのように守秘義務に対する理解を向上させたらいいのでしょうか。
労務相談室
2024.06.25
第53回 労務相談室 辞職願提出期限
断食明け大祭休暇後は人の動く季節ですので、求職者も求人も活発になりがちです。となると当然争奪戦となり、早く入社してくれる人を選ぶなどという選択肢も出てきます。一方で退職される側としては作業が増え、作業効率も落ちる可能性があり、頭の痛い時期でもあります。転職するとしてもきちんと引継ぎしてほしいのが会社の本音ということで、辞職願をもっと早く出してもらえないものかというご相談をしばしば受けます。今回はこの辞職願提出期限について取り上げてみます。
労務相談室
2024.06.25
第52回 労務相談室 出社しない社員
インドネシア年間最大行事である断食明け大祭休暇が終わり、やっと平常の活動に戻りつつあるのではないかと思います。とはいえ今年の断食明け大祭休暇は 3 月〆の会社にとっては年次決算準備、新年度準備などが重なる 4 月中旬での休暇となりましたので、休暇終了後に山積みとなった対応に四苦八苦された会社も少なくないのではないかと思います。 そんな中で帰省後就業日初日にジャカルタに戻ってこない社員が少なからず見受けられます。退職の意思ない場合がほとんどですが、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。今回はインドネシアあるあるとも言える帰省後に戻ってこない社員の状況を取り扱います。
労務相談室
2024.05.14
第51回 労務相談室 送別金規則
退職金の 1 つに送別金 uang pisah というものがあります。送別金は特定の 6 種類の理由により雇用関係を終了した場合に払う義務のある退職金の1つで、送別金を支払う場合は退職手当 uang pesangon や勤続功労金 uang penghargaan masa kerja を支払う義務はありません。一方権利補償金 uang penggantian hak はいかなる退職理由であっても支給義務がありますので、これは他の理由と同様支払い義務があります。そして最も他の退職金と異なるのは、送別金規則は各社で自由に設定できるところです。ではどのような規則を設定すべきなのでしょうか。
労務相談室
2024.04.01
第50回 労務相談室 無断欠勤呼び出し状
無断欠勤 5 日連続以上続くと自己都合退職したものと見なし、雇用関係を終了することができるというのはよく知られている規定です。多くの就業規則や労働協約の「雇用関係を終了できる違反」にも無断欠勤 5 日連続という内容が記載されています。けれどもこの雇用関係終了には会社からの呼び出し状が送付されていることが条件となっています。ではこの呼び出し状とはどのようなものなのでしょうか。
労務相談室
2024.04.01