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第69回  来年の最低賃金

第69回  来年の最低賃金

 11 月に入ると最低賃金決定に関するコメントがぐっと多くなってきます。現行法規では翌年1 月1 日から適用される州最低賃金は施行の40 日前、つまり11 月21 日までに、県/市最低賃金は施行の30 日前、つまり12 月1 日までに決定しなければならないことになっています。これまで何度もこの期限は政府に破られていますので、経営者協会や企業側も多少遅れることには目をつぶっていますが、気になるところではあります。昨年はいきなり大統領が「一律6.5%上昇させるように」と根拠の説明もなく決定し、各州知事はそれに従うということであっという間に決定してしまいましたが、予想外の大きな上昇に加え、セクター別最低賃金まで復活してしまい、各社は困惑なさったことと思います。おそらくセクター別賃金が継続していくつか決定されるのではないかとは思われますが、2026 年の最低賃金が気になるところです。

【労働組合連合の要求】
 8 月くらいになると、労働組合連合がいきなり「来年の最低賃金は〇%上げるのが妥当だ」というようなコメントを出します。根拠はあやふやで、「とにかくこれくらい上げてほしい」と結局各社の労働組合が要求するのと大きな違いなく、10%だ、15%だと声高に主張します。これは政府側が決定前に労使の意見を聞くからなのですが、今回も同様に大きな率を言い続けていました。ところが11 月中旬になってから急に要求を下げてきて、現状7.7%程度の要求となっています。同時に強く主張しているのは「2025 年の上昇率を下回ることは受け入れられない」です。この動きから予測しますと、労働組合の大きなデモや暴動を避けたい政府側は、6.5%から7.7%の昇給を決定する可能性が高くなってきました。
  その他の動きとしては、ジャカルタに関しては「600 万ルピアに設定するのが適切だ」とまたまた何の根拠もない数値をいきなり叫び始めています。セクター別賃金については、なぜか特定外資企業に適用する最低賃金を別に設定すべきというようなことを主張しており、法規も何もないような状況になりつつあります。

【会社としての準備】
 こんな状況であれ、おそらく来年の最低賃金は設定されます。そんな中で、会社はどのような準備をしていく必要があるでしょうか。政府が法規を遵守せず、勝手に決めるから会社も勝手に決めていいということにはなりません。会社で適用する最低賃金は何なのかは発布された法規をきちんと確認し、理解する必要があります。また就業規則や労働協約、もしくはこれまでの通常行ってきた年次賃金調整の基本となるデータも確認しておきましょう。インフレ率や会社能力、周囲の状況などを参考にすると規定されている会社が多いですが、会社によっては種々配慮すべき点を労働組合と合意なさっている場合もあります。特に会社能力を何が理解するデータとして何を使ってきているのかも確認が必要でしょう。年次賃金調整(年次昇給と記載している場合も多いです)の基本となるのかを確認し、そのデータを入手の上、労働協約の場合は労働組合と事前に合意した上で交渉に臨む方がスムーズに進められるのではないでしょうか。

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