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労務相談室

第67回  評価結果のフィードバック

第67回  評価結果のフィードバック

 人材育成、社員教育はいずれの会社でも「やるべきこと」と理解されていると思うのですが、では何をどのように、どこまで教育するのかという具体的な絵をしっかり持っている人事は比較的少ないように思います。教育訓練体系を策定する基本は能力基準にあると常々お話していますが、この能力基準は社員に「現状」を理解させるツールでもあります。インドネシア人社員は比較的「できている」と思っている傾向が強いのですが、それはどのようなことができると「できている」のかを定めていないことによって生じます。そして現状との差を理解させることは社員の動機づけにもなります。

【評価の調整】
 社員に自分の不足している部分を理解させ、会社がその向上の機会を与えることは会社の義務とも言えます。どんな経験者を採用しても、まったく教育せずに会社の望む結果を出せる人はいません。会社のやり方や文化を理解した上での就労は必要です。そのためにも会社の認識する社員の現状を「評価結果」として伝えるわけですが、その評価はしばしば上⾧や会社経営層、人事から訂正指示が入ることがあります。そうすると評価した上司は「これは自分の評価ではない」と思ってしまう傾向が強く、評価のフィードバックを行う際に「自分は〇〇の評価だと思うけれど△△がこれに変更した」と伝えてしまうのです。こういわれた社員は自分の現状が分からず、不満が残ります。勇気を出して部下に評価結果を伝えた意味がありません。ではどのように評価のフィードバックをすればいいのでしょうか。
 マネージャー達からのこういった愚痴を聞いた場合、まずは「受け入れられない評価は上⾧ととことん話をして、納得できるまで受け入れない」ことを勧めます。ほとんどのマネージャー達は苦笑いですが、部下を一番知っているのは直属上司であることに自信を持たせる必要があります。ただ評価は親バカではできませんので、広い客観的な視点でみた調整に耳を傾け、「本当にそうか?」を考え直させる必要があります。

【調整後の評価も自分の評価】
 そして受け入れた評価は自分の評価なのです。なぜその評価なのかを客観的に事実をもとに説明しましょう。そして「何が足りないか」という過去ではなく「どうすればもっとよくなるか」という明るい未来の話をしましょう。何をどこまでできるようになる必要があるのか、それは何のためなのか、社員にとっての得と会社にとってのプラスは何なのか等を具体的に本人がわかる言葉で説明しましょう。論理的にきちんと説明していれば必ず解るとは限りません。得意分野も異なれば、教育レベルも経験も異なる相手に相手の理解を考えずに自分だけの言葉で伝え、「わかりましたか?」と確認しても何の意味もありません。理解できないことをたくさん聞かされ、「はい」と答えないと怒られると思う質問をされているのですから。インドネシア人社員は「上司の言うことは受け入れるもの」と思う傾向が強いです。ですから上司が部下に近づいてあげる必要があります。
 「どうして部下はこんなにできないんだろう」という上司がいますが、できなくて当然なのです。部下はあなたではなく、あなたと同じ能力を持っていないから部下なのです。

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