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労務相談室

第71回  賃金の手取り設定

第71回  賃金の手取り設定

日本では税込みでの賃金設定が一般的ですが、インドネシアでは手取りでの賃金設定をする会社が少なからずあります。現物支給に関する所得税についての法規が 2023 年に改定される以前は「所得税は会社が負担する」と明記し、賃金が手取り設定であることを社員と合意している会社が多くありました。現在も賃金設定は手取りで行い、所得税を本人負担とするためにグロスアップした賃金を税込み賃金とし、そこから所得税を控除して会社が納税するという形を取っています。なぜ今もなぜ手取り賃金での合意を好む会社が多いのでしょうか。

【時間外労働賃金の管理】
インドネシアでは時間外労働賃金の計算方法が法規で定められており、平日の時間外労働か、休日出勤か、そしてどれくらい連続して時間外労働を行うかによって、時給の 1.5 倍から 3倍となります。固定費をできるだけ低く抑えたいので、24 時間操業の会社でも 3 シフトにせず、2 シフトと時間外労働で行っているケースも少なからずあります。人員を少なめに設定すると当然時間外労働時間が増え、社員の時間外労働賃金も増えることになります。
一方インドネシアでワーク・ライフ・バランスを語るようになった歴史はまだ浅く、現在でも時間外労働をできるだけ多く行い、収入を増やしたいと考える社員は多いです。ですから、自分の時間外労働をきちんと記録し、収入を計算した上で支給された賃金額を確認する社員は実は意外と多いのです。それが手取りであれば計算通りとなるわけですが、税込みですと当然税額が変わってきますので、税計算方法をきちんと理解していないと計算が間違っているのかどうかの確認ができず、社員の不満が貯まる傾向が強くなります。
一方所得税の計算は基本的には扶養家族の人数と所得額を元に計算します。扶養家族の人数によって非課税所得額が決定され、年間の所得合計によって税率が変わります。税法をきちんと勉強した人でなければ煩雑でわかりにくくなっていますので、どのように計算したのかを会社側が説明しても社員が納得できず、不満が貯まることになりがちです。

【会社への信頼にも影響】
そもそも会社が支払う賃金のすべてを受領できず、所得税を控除されることを受け入れること自体がまだ難しい状態とも言えます。「なぜ自分の賃金が減るのか」という感触をぬぐえていません。税というものが何に使われており、いかに国を動かしていくのに必要なのかということを考えられるレベルに至っていない人が多いとも言えます。ですから不満に思った社員が人事に押しかけて、きちんと説明しろと言ってくるケースは非常に多いです。この対応の煩雑さが大きい上に、結局多くの社員は納得しないまま会社に不満が貯まることになります。決して会社が多く控除しているわけではないのですが、社員からの会社に対する不満は様々なケースで会社の言うことを信用しないという流れになりやすくなります。ですからそれなら手取りで契約した利点の方が多いと考える会社が少なくないのです。

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