1. HOME
  2. Information
  3. 第65回 労務相談室 個人事業主

Information

皆様のお役に立つ情報のご案内

お役立ち情報

第65回 労務相談室 個人事業主

第65回  労務相談室  個人事業主

 固定費削減のとして、雇用形態の検討がしばしば行われます。正社員率を減らし、契約社員に切り替えていくことは1つの対応策でしょう。一方直接雇用ではない形態である派遣社員(アウトソース)、請負社員(サブコン)などの検討案もあり、これは人材派遣を行う会社や、サービスを提供する会社との契約を行うことで、業務成果を得ていくやり方です。これらは必ず法人との契約を締結しなければならないことが法規で義務付けられています。派遣社員や請負社員は当然派遣会社、請負会社と雇用関係があります。                                                                             
 そして昨今注目されている個人からのサービス提供を受ける形が個人事業主との契約です。

【個人事業主のサービスとは】
 一般的にはサービスを提供する個人自身が事業主となって会社に対する何らかの対応を行うことを言います。現在生活にはなくてはならない存在になりつつあるオンラインのタクシーやバイクタクシー、出前サービスなどを行っている会社と運転手の関係が実はまさにこの個人事業主との契約なのです。雇用ではないのでこの契約において賃金は発生しません。提供したサービスに対する対価を支払いますので、どのような支払い方法かということが契約で合意されるのです。サービスを行ったことを証明する証憑も必要です。
 個人事業主との提携契約では、提供するサービスの内容、その対価、就業方法、会社および個人事業主の権利および義務などの他に、守秘義務対応や違反時の罰則、契約更新の考え方なども明記します。個人であっても社員ではありませんので、社内規則を適用することができないことにより、すべて契約書に明記する必要があります。

【雇用との違い】
 雇用との最も大きな違いは、雇用は労働法に基づきますが、個人事業主との契約はサービスの提供、つまり売買契約ですので、民法や会社法に基づくことになります。労働法で義務付けられている社会保障への加入、最低賃金以上の賃金支給、時間外労働賃金の支給、宗教大祭手当の支給、退職金の支給などは個人事業主との契約には適用されません。一方で個人事業主との契約では双方の利益を鑑みた価格設定となりますので、雇用した場合の賃金額を上回る可能性は高くなります。また成果ベースでの支払いですので、規律や守秘義務など通常管理したい部分の対応が難しくなります。個人事業主の違反に対する罰則は警告書や解雇ではなく、損賠賠償請求や契約破棄などとなりますので、細かい指導やそれに伴う評価や昇給と言った育成・教育を通じた成果の向上は望みにくいとも言えます。                                                                                     
 それでも個人事業主との契約を検討するのはサービスの提供を依頼しなければ費用が発生しないからです。また雇用ではないので個人事業主との契約を行うことのできる業種などの制限がありません。ただ自由な個人ですので、他の顧客と契約することもありますので、状況によっては会社の大事な情報が漏洩したり、悪用されたりする可能性もゼロではありません。どのような関係でのサービス提供を望むかによってその選択肢となるかどうかが決まってくるとも言えるでしょう。

Latest posts