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第64回 労務相談室 労災による欠勤に対する取扱

第64回 労務相談室  労災による欠勤に対する取扱

  労働災害(以下「労災」と称す)による欠勤やそれにかかわる費用は労働社会保障プログラム(以下「労働BPJS」と称す)に係る法規で定められています。まず労災とは「労働に係ることが原因で発生した事故/災害」を言います。これには通勤災害も含まれますので、「通常のルートを通っている通勤途中に発生した事故」も労災となります。労災に係る費用は労働BPJS に請求することができますが、細かい処理プロセスがありますので、関連法規をご参照ください。

【通勤災害の妥当性確認】
  日本であれば通勤の主たる交通手段が電車なので、定期などを購入することで「通常のルート」を確定しやすいです。一方インドネシアでは通勤の主たる交通手段が車やバイクです。そして酷い渋滞や奇数・偶数規制などでいつも同じルートを通るとは限りません。一方で気軽にルートを変更できる車やバイクでの通勤では他のところに立ち寄る機会も少なからずあり、その場合どこまでを通勤災害として認めるかという問題が発生します。この線引きは各社で規定を定める必要があり、法規では定められていません。会社に通常のルートを登録するというケースは少ないようですが、事故の発生場所の妥当性については確認する必要があるでしょう。

【労災による欠勤の確認】
  労災による欠勤は関連法規に基づき、「出勤したもの」と見なします。けれども当該欠勤が労災によるものかどうかの判断は必要になります。労災による傷病による欠勤は通常の病欠と同様、医師の診断書をもって「当該傷病による欠勤」とするのが一般的です。入院した場合はわかりやすいのですが、自宅療養した場合や退院後は、その欠勤中の医師の診断書が必要になります。医師の診断書はそんなに⾧い期間のものではありません。通常1 週間程度になりますので、欠勤期間中すべての期日に医師の診断書で休養が指示されていることを明確にしておかなければなりません。ここで気を付けるべきなのはどのような医師の診断書を会社は正式な証拠として認めるか、です。医療機関として認められている病院や診療所は問題ないでしょうが、医療機関ではないところでの処置については配慮が必要です。たとえば通勤災害において、捻挫や骨折することがあります。インドネシアの多くの人は捻挫や骨折で病院や診療所には行かないことが多く、いわゆるマッサージ師tukang urutや接骨師paranormal と言われるようなところに行く人が少なからずいます。このような人々も「〇日間休養すべき」と言った書類を発行することがあるのです。特に地方出身の人は捻挫や骨折で病院や診療所に行かない、もしくは行くべきでないと思っていることが多いのです。これらを認めるかどうかは会社の規定で定める必要があります。会社が医師の診断書として認めない書類を提出した場合には、病欠とならない、つまり労災による欠勤にはなりませんので、出勤したものとはみなされなくなります。当然健康BPJSへの費用請求はしないことになりますし、費用は社員本人の負担となります。会社が受け入れない理由による欠勤の場合は「無断欠勤」とみなされるとしている会社も多いですから、きちんと認識していないと連続5 日の無断欠勤で「自己都合退職したものと見なされる」こともあり得ます。労使での明確な共通理解が必須となりますので、規則の完備や本人への通達に配慮しましょう。

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