お役立ち情報 第 63 回 守秘義務 2025.05.26 第 63 回 守秘義務 インドネシアは簡単に転職する、もっと極端に言えば業種によっては同業者を転々と回ることが非常に多い中で、守秘義務は注目度が高いにも関わらず、比較的社内での論理武装ができていない分野です。守秘義務違反と認められるための規則整備や労使の合意を整える必要があります。何より守秘義務違反が発生しないように、社員にしっかり理解してもらう必要があります。ではどのようなものを準備しておかなければならないのでしょうか。 【守秘義務/機密情報の定義】 守秘義務とは「定められた機密情報や機密情報を含む文書/図面等を第三者に漏洩してはならないこと」を言います。ここで言う第三者とは情報により、「許可された者以外の社員を含む」場合と「社外の者」となる場合があります。つまりどこまでの人がこの情報を知って良いのかを明確にしておく必要があります。 そして何よりどの情報を漏洩してはいけないのかを事前に明確にしておかなければなりません。「こんなの常識だろう?」で守秘義務違反を非難できまん。たとえば人事スタッフがある社員の賃金情報を他の社員に知らせることは守秘義務違反と言えると思いますが、当該社員の賃金を知る権限のある上司は守秘義務違反になりませんし、本人から賃金額を知ったある社員が別の社員にそれを話すのは守秘義務違反ということは難しいです。一つ一つの情報に守秘義務があるかどうかを定めるのは非常に困難ですので、就業規則/労働協約に守秘義務の条項を定め、守秘義務のある情報とはどんなものかを明記しておくことが有効です。 【守秘義務に関する労使の合意】 守秘義務のある情報を漏洩してはいけないと会社が声高に言っても、社員側がそれを認識し、合意する必要があります。就業規則や社内規則として会社が定め、それを周知する一方で雇用契約書等において「全社内規則の遵守」を社員に義務付け、社員が合意しているという状態を作ることができれば、これは労使の合意があると言えるでしょう。また、労働協約に守秘義務違反の条項があり、労働組合との間での合意を行っていれば、これも労使の合意があると言えます。労働組合は社員代表として合意しているので、各社員が合意したのと同じ意味になるからです。とはいえより社員にしっかり理解させ、遵守させるためには既存の各社員とは個別に守秘義務合意書を作成し、新入社員には雇用契約書の中に守秘義務の条項を含めることが効果的です。各社員が合意することを明言するのですから、会社として徹底することがより容易になります。 一方退職時に守秘義務合意書を作成するケースも見られます。効力はありますが、締結そのものに困難を伴います。特に転職するために自己都合退職する社員の場合、もともと現職での情報が転職先のほしいものである場合も少なからずあります。「守秘義務合意書に署名をしなければ退職させない」と言っても、守秘義務合意書に署名する義務が定められていないのが常です。義務でないものを強要できませんし、退職させないと言っても社員が会社に来なくなってしまえば同じことです。ですから守秘義務合意は入社時に締結するのがベストであり、遅くとも在職中に締結しておくか、就業規則/労働協約に明記し、周知しておくかのいずれかでないと適用が難しくなります。 Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it Keystoneオンライン労務無料セミナー 労務お助け窓口 ~採用~